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聴力に関する障害

投稿日:2014/09/14

聴力に関する障害

交通事故によって聴力を失ったり、低下してしまった場合には、後遺障害の認定対象となります。
聴力については、主に純音聴力検査語音聴力検査で検査をし判定を行います。

純音聴力検査

純音聴力検査は、一般にオージオメータという検査機器を使って、音が聞こえるかどうかを検査するものです。人の聴力には、空気の振動によって音を把握する聴力である気導聴力と、頭蓋骨の振動によって音を把握する聴力である骨導聴力があり、この両方を検査することで純音聴力レベルを把握することができます。純音聴力検査の結果は、聴力レベルとデシベル(dB)という単位で表わされ、後遺障害認定では3回以上行った検査結果の平均で判断されます。

語音聴力検査

語音聴力検査は、「に」「さん」「よん」「ご」など言葉の聞き取りやすさを調べる検査です。語音聴力検査の結果は明瞭度で表わされ、最高明瞭度を100%として、%という単位で表わされます。

後遺障害の等級認定に必要な聴力検査は、治療効果が期待できない状況、つまり症状が固定した後に行います。検査の実施に際しては日を変えて3回行い、検査と検査の間隔は少なくとも7日程度は空けなければなりません。(ただし、語音聴力検査の回数は、検査結果が適正と判断できる場合には1回でも構いません)

すべての耳鼻科医が後遺障害認定のための検査方法を熟知している訳ではありませんので、検査に当たっては後遺障害認定のために必要であることを伝えて、上記の点に踏まえて検査が行われているかを確認してください。

純音聴力検査や語音聴力検査は、検査を受ける人の返答を必要とする検査であるのに対し、そのような検査を受ける人の返答を必要としない検査として、ABRやSRという検査があります。ABRは音の刺激に対する脳の電気生理学的な反応を感知して、その波形を記録する検査です。SRは中耳のあぶみ骨にある耳小骨筋が音に反応して収縮することから、これを感知して検査する方法です。これらの検査は、他覚所見を確認するために、純音聴力検査や語音聴力検査に加えて行われます。

聴力に関する後遺障害は、両耳と片耳の聴力に関して、その聴力低下の程度に応じて各等級が定められています。

両耳の聴力に関する障害

4級3号 両耳の聴力を全く失ったもの

⇒両耳の平均純音聴力レベルが90dB以上、または両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上で、かつ最高明瞭度が30%以下のものをいいます。

6級3号 両耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

⇒両耳の平均純音聴力レベルが80dB以上、または両耳の平均純音聴力レベルが50~80dB未満で、かつ最高明瞭度が30%以下のものをいいます。

6級4号 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

⇒1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上、かつ他耳の平均純音聴力レベルが70dB以上のものをいいます。

7級2号 両耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

⇒両耳の平均純音聴力レベルが70dB以上、または両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上で、かつ最高明瞭度が50%以下のものをいいます。

7級3号 1耳の聴力を全く失い、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

⇒1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上、かつ他耳の平均純音聴力レベルが60dB以上のものをいいます。

9級7号 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

⇒両耳の平均純音聴力レベルが両耳60dB以上、または両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上で、かつ最高明瞭度が70%以下のものをいいます。

9級8号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になり、他耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

⇒1耳の平均純音聴力レベルが80dB以上で、かつ他耳の平均純音聴力レベルが50dB以上のものをいいます。

10級5号 両耳の聴力が1m以上の距離では普通の話声を解することが困難である程度になったもの

⇒両耳の平均純音聴力レベルが50dB以上、または両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上で、かつ最高明瞭度が70%以下のものをいいます。

11級5号 両耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

⇒両耳の平均純音聴力レベルが40dB以上のものをいいます。

1耳の聴力に関する障害

9級9号 1耳の聴力を全く失ったもの

⇒1耳の平均純音聴力レベルが90dB以上のものをいいます。

10級6号 1耳の聴力が耳に接しなければ大声を解することができない程度になったもの

⇒平均純音聴力レベルが80~90dB未満のものをいいます。

11級6号 1耳の聴力が40cm以上の距離では普通の話声を解することができない程度になったもの

⇒平均純音聴力レベルが70~80dB未満、または50dB以上で、かつ最高明瞭度が50%以下のものをいいます。

14級3号 1耳の聴力が1m以上の距離では小声を解することができない程度になったもの

⇒平均純音聴力レベルが40~70dB未満のものをいいます。


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